建設業許可の取得を考えたらまず確認するポイント

前提として、”軽微な建設工事”しか請け負わない事業者には建設業許可は必要ありません。
建設業許可が必要になるのは、次のような工事を請け負う場合です。

1件の工事の請負代金が500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)の場合

ある程度の年数が経ってくると、取引する企業も増えてきますので、500万円以上の工事の話がでてくることもありますよね。でも、建設業許可を持っていなければ請け負うことはできません。
「じゃあ、工事を分割して発注してもらおう」と考えるかもしれませんが、結局は1件の工事として判断されますので、建設業法違反になります。

建設業許可の要件を意識していないと、いざ許可を取ろうと思っても申請を諦めることになります。ビジネスチャンスを逃さないためにも、早めの準備をオススメします。

今回は、建設業許可の取得を意識し始めた事業者様に、まず確認して欲しいポイントを解説していきます。
なお、建設業許可には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類がありますが、今回は「一般建設業許可」の要件について解説しています。

一般建設業許可と特定建設業許可の違い
1件の工事の下請契約の総額が4,500万円未満(建築一式工事は7,000万円未満)の場合は一般建設業の許可が必要になります。逆に、これらの金額を超える場合は、「特定建設業の許可」が必要になります。

建設業許可取得のための要件

建設業許可を取得するには、以下の6つの要件を満たす必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者がいること
  2. 適切な社会保険に加入していること
  3. 専任の技術者がいること
  4. 請負契約に関して誠実性があること
  5. 欠格要件に該当しないこと
  6. 財産的基礎または金銭的信用があること

それぞれの詳細を確認していきましょう。

1.経営業務の管理責任者がいること

経営業務の管理責任者の要件に該当する方が、営業所に常勤することが求められます。
経営業務の管理責任者の要件は、2020年10月からは次のように緩和されました。

1建設業に関して、5年以上の経営業務の管理責任者(法人の役員、事業主又は支配人、建設業法上の支店長、営業所長等)としての経験がある者
2建設業に関して、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって、5年以上経営業務を管理した経験がある者
3建設業に関して、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって、6年以上経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験がある者

建設業許可を取得する事業者様の多くが「1」の要件で取得します。
法改正前までは、許可を取得する業種で5年、それ以外の業種で6年の経営業務の管理責任者としての経験が必要だったため、今回の要件の緩和によって1年早く許可を取得できる事業者様も多いのではないでしょうか。

「2・3」については、該当する方が少ないので今回の解説では省略します。

2.適切な社会保険に加入していること

2020年10月から適切な社会保険に加入していることが許可要件になりました。
健康保険、厚生年金保険及び雇用保険への加入が必要な事業所は、加入していなければ許可を取得することはできません。
※現在許可を取得している建設業者様でも、適切な社会保険に加入していない場合は、更新が認められなくなります。

不明な場合は、社会保険相談窓口にご相談ください。

【国土交通省からの資料】
1)建設業における労働保険、社会保険の加入義務等について
2)社会保険相談窓口について

3.専任の技術者がいること

営業所ごとに、各業種について要件を満たす専任の技術者を常勤させなければなりません。代表的な要件を4つ挙げます。

1高校の指定学科を卒業してから、5年以上の実務経験がある
2大学又は高等専門学校の指定学科を卒業してから、3年以上の実務経験がある
3許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験がある
4許可を受けようとする業種に対応した資格を有する者

実務経験とは、建設工事の施工を指揮、監督した経験及び実際に建設工事の施工に携わった経験をいいます。ただし、工事現場の単なる雑務や事務の仕事は実務経験に含まれません。

実務経験を証明するには、その間の工事契約書、注文書と請書、請求書等が必要になりますので、書類の保管状況によっては証明が困難になることがあります。

4.請負契約に関して誠実生があること

請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかなものでないことが必要になります。

5.欠格要件に該当しないこと

欠格要件を簡単にまとめると次のようになります。

欠格要件
  1. 許可申請書またはその添付書類の中に重要な事項について虚偽の記載がある。または重要な事実の記載が欠けている。
  2. 法人の役員等、令三条の使用人、個人事業主本人または支配人等が破産から復権を得ていない者や営業停止、営業禁止を命ぜられて期間を経過していない者、一定以上の刑に処されて5年を経過しない者などに該当する場合

一人でも該当者がいると許可は受けられませんので、申請の際には必ず確認するようにしてください。

6.財産的基礎または金銭的信用があること

請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用があることを証明しなければなりません。具体的には次の方法で証明します。

自己資本の額が500万円以上あること

法人の場合は、貸借対照表の純資産合計の額が500万円以上あることで証明します。会社設立してすぐに建設業許可を取得する場合は、資本金を500万円以上にすることで要件を満たします。

500万円以上の資金調達能力があること

申請日前3ヶ月以内の金融機関の残高証明書等で証明します。

以上の6つが建設業許可を取得するための要件です。
許可の取得をお考えの場合は、これらの要件を満たしているかをまずご確認ください。

許可を受けたあとの届出等

建設業許可を取得すると、5年毎に更新の手続きが必要になりますし、代表が交代したり、営業所の所在を変更したりといった何かしらの変更があった場合は、決められた期限内に届出する義務もあります。

変更の内容によって、次のように期限が異なります。

事実の発生した日から30日以内

  1. 商号又は名称を変更したとき
  2. 新たに法人の役員等、支配人になった者があるとき
  3. 法人の役員等、支配人に退任があったとき
  4. 法人の代表者(申請人)の交代があったとき
  5. 法人の役員等、個人事業主又は支配人の氏名に変更(改姓・改名)があったとき
  6. 資本金額(又は出資総額)に変更があったとき
  7. 既存の営業所名の名称、所在地又は営業を行う業種を変更したとき
  8. 営業所の新設をしたとき

事実の発生した日から2週間以内

  1. 経営業務の管理責任者を変更したとき
  2. 経営業務の管理責任者が氏名を変更したとき
  3. 専任技術者を変更したとき
  4. 専任技術者が氏名を変更したとき
  5. 新たに営業所の代表者になった者があるとき
  6. 経営業務の管理責任者又は専任技術者に係る基準を満たさなくなったとき
  7. 欠格要件に該当するに至ったとき

毎事業年度経過後4ヶ月以内

  1. 毎事業年度(決算期)を経過したとき
  2. 使用人数に変更があったとき
  3. 令3条の使用人の一覧表に変更があったとき
  4.  定款に変更があったとき
  5. 健康保険等の加入状況に変更があったとき

必要な変更届けを提出していない場合、許可の更新や業種追加の申請が認められない場合がありますので注意が必要です。
特に、「16.毎事業年度(決算期)を経過したとき」に提出する変更届出書については、全ての業者が毎年度提出しなければなりません。

その他に確認しておくこと

許可の申請の前に次のポイントも確認してください。

登記事項証明書の事業目的

事業目的に、申請業種に関連するものを具体的に明記していることを確認してください。
「左官工事業」「石工事業」「屋根工事業」といったように各業種をひとつずつ明記してもいいですし、「建築工事の請負、施工または建築工事業」のように業種を包括した表現でも良い場合があります。

記載がないからという理由で許可が取れないということではありませんが、追記することを求められますので、念の為、自社の事業目的で問題が無いかを行政庁に確認することをオススメします。

許可の取得までにかかる日数

建設業許可の要件を満たしていることを確認後、申請書の作成や添付書類の収集に1ヶ月程度かかり、提出書類に不備がなければ知事許可なら約1ヶ月の審査期間を経て許可がおりますので、最短でも2ヶ月程度は要します。
ご自身で手続きされる場合は、それ以上の日数が必要になると思われますので、スケジュール調整も重要になります。

まとめ

建設業許可を取得するには6つの要件を満たしている必要があります。
ひとつでも満たしていない場合は許可を取得することはできませんので、許可の取得を検討している方は真っ先に確認する必要があります。

  1. 経営業務の管理責任者がいること
  2. 適切な社会保険に加入していること
  3. 専任の技術者がいること
  4. 請負契約に関して誠実性があること
  5. 欠格要件に該当しないこと
  6. 財産的基礎または金銭的信用があること

また、許可を取得後には、「更新手続き」や「各種届出の義務」もあります。
届出を忘れてしまうと、更新手続きができないなどの落とし穴にはまってしまいます。「知らなかった」は通用しませんので、事前にどういったときに届出が必要かを把握しておくことも大切です。

ご自身で許可申請する場合は、不明点が多々でてくると思いますので、行政庁に確認しながら進めていくことになります。
栃木県の場合は、管轄の土木事務所または県土整備部監理課に問い合わせします。

栃木県県土整備部監理課建設業担当
所在地 宇都宮市塙田1-1-20
電話番号 028-623-2390

なお、建設業許可についての詳細はこちらの記事で解説しています。

建設業許可の取得をサポート

建設業許可の要件と取得後の届出義務等のお話をしてきましたがいかがでしたか?
「なんとなく分かったけど、本業が忙しいし、行政庁とのやり取りや手引を読むの面倒だし、、、」といった感じではないでしょうか?

弊所では、お忙しい一人親方や事業者様の建設業許可の取得をサポートさせていただいております。許可を取りたいけど時間がないという事業者様は、是非弊所のサポートをご利用ください。
栃木県内なら、無料出張相談も実施しております。

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許可の種類 サポート料(税込) 許可手数料 合計(税込)
知事許可 132,000 90,000 222,000
専任技術者として10年以上の実務経験で証明する場合は、別途ご相談。

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