建設業許可の業種追加の要件や注意点

・社員も増えてきたので業種を追加したい
・業種追加ってどうすればいいの?
・複数の業種を追加する場合の手数料ってどう計算するの?

建設業許可を取得してから月日が経過すると、許可を取得している業種以外の工事についても許可が必要になったり、専任技術者の要件を満たす従業員を雇用できたので業種追加を検討する事業者様など、業種追加の理由は様々あります。
今回は、一般建設業許可の業種を追加する際に知っておく要件や注意点について解説していきます。

建設業許可の業種追加の手続き

同じ建設業許可の区分の中で業種を追加する場合に、「業種追加」の手続きを行います。

  • 「一般建設業の許可業者様」が「他の一般建設業の業種」を追加する
  • 「特定建設業の許可業者様」が「他の特定建設業の業種」を追加する

業種を追加するだけなら「簡単な手続で済むんでしょ?」と思われるかもしれませんが、専任技術者の要件や常勤性の証明などが必要ですので、手続の内容としては、新規申請とほとんど変わりがありません。

建設業許可の業種追加で確認すること

業種追加の際に確認しておくべき点は次のとおりです。

令三条の使用人がいること

本店だけで建設業許可を取得している事業者様の場合は、経営業務の管理責任者が営業所に常勤しているので「令三条の使用人」を置く必要はありませんが、業種追加を機に、本店以外の営業所でも建設業許可を取得する場合は、営業所の代表者の地位に当たる「令三条の使用人」を常勤させる必要があります。
令三条の使用人とは、代表取締役などの会社の代表者から一定の権限を委任され、営業所での請負契約や入札などの業務を行う権限のある者になります。
なお、建設業許可要件のひとつの「欠格要件」は、令三条の使用人も対象ですので業種追加の際はご注意ください。

専任技術者がいること

追加したい業種に関する資格や実務経験のある専任技術者を営業所に常勤させなければなりません。

  • 追加する業種に関する資格を保有している
  • 追加する業種に関する学校を卒業し、3年や5年の実務経験がある
  • 追加する業種に関して10年以上の実務経験がある

営業所ごとの常勤が求められますので、本店と支店で同じ専任技術者を登録することはできません。
また、実務経験だけで2業種の専任技術者になる場合は、実務経験の期間の重複は認められませんので、トータル20年以上の実務経験が必要になります。
実務経験の期間を証明するには、請負契約書や注文書+請書などの提出が求められます。必要年数分用意できなければ、専任技術者になることはできませんので、実務経験での証明はかなり難易度が高いといえます。

財産的基礎または金銭的信用要件があること

直前の決算の自己資本の額が500万円以上あるか、ない場合は500万円以上の資金調達能力を証明するために残高証明書等が必要になります。

一般建設業許可の場合は、すでに取得している許可業種を1度でも”更新”したことがあれば、財産的基礎または金銭的信用の要件を証明する書類は免除されます。

「専任技術者」の要件を満たしているかが重要です。
実務経験で証明する場合は、必要書類を年数分用意できるかの確認が重要です。

建設業許可の業種追加の際に注意すること

事業者様によっては、専任技術者が不足するために特定の営業所だけで業種追加を検討することがあるかもしれません。ただ、よく考えずに一部の営業所だけで業種追加をしてしまうと、結果的に事業の幅を狭めてしまうこともありますので注意が必要です。

そもそも、建設業許可を取得していなければ、法定金額未満の軽微な工事の請負契約は自由にできます。もちろん営業所がいくつあっても問題ありません。
一方、建設業許可を取得すると、「主たる営業所」と「従たる営業所」として申請した営業所以外の営業所では、許可を取得した業種の請負契約はできなくなります。もちろん、法定金額未満の工事であってもできなくなります。
営業所が複数ある建設業者様で、どの営業所も同じ程度の受注額というような場合に、ひとつの営業所だけで業種を追加してしまうと、他の営業所ではその業種に関する一切の契約ができなくなりますので、結果として売上が減少してしまう恐れもあります。

他の営業所と重複しない工事業種であれば気にする必要はないかもしれませんが、事業拡大のために業種を追加したことで売上が減ってしまっては本末転倒です。
営業所が複数ある場合の業種追加にはご注意ください。

建設業許可の業種追加の際の法定手数料の考え方

業種を追加するには法定手数料が必要ですが、「どのくらいかかるのか?」「追加する業種の数によって金額が変わるのか?」 気になりますよね。

まず、業種追加の際の法定手数料は、「5万円」です。
そして、追加する業種の数によって金額が変わるのかといえば、そうではありません。
業種追加の申請をまとめて行うのであれば、業種がいくつであっても5万円のままです。

【例】
既存の許可(一般)の更新のタイミングで、2業種(一般)を追加する場合
更新(5万円)+2業種追加(5万円)=10万円

緊急で業種追加が必要ということでなければ、できる限りまとめて申請する方が得策といえます。

建設業許可の業種追加の申請書類

様式番号申請書
第1号建設業許可申請書
別紙1役員の一覧表
別紙2(1)営業所一覧表
別紙3収入印紙、証紙、登録免許税領収証書または許可手数料領収証書はり付け欄
別紙4専任技術者一覧表
第2号工事経歴書
第3号直前3年の各事業年度における工事施工金額
第4号使用人数
第6号誓約書
登記されていないことの証明書
身分証明書
第7号経営業務の管理責任者等証明書
第7号の3 健康保険等の加入状況
健康保険等の加入状況の確認書類
第8号専任技術者証明書
技術検定合格証明書等の資格証明書
第9号実務経験証明書(必要に応じて卒業証明書を添付)
第10号指導監督的実務経験証明書
第11号建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
第12号許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
第13号令第3条の使用人の住所、生年月日等に関する調書
身分証明書は、外国籍の方については添付は不要です。

建設業許可の有効期間の調整

業種追加を行うと、それまで取得していた許可とは異なる許可年月日になりますので、更新のタイミングがバラバラで管理が大変ですし、更新の度に5万円の手数料が発生してしまいます。
こうした問題を解消するために、許可の有効期間の調整という方法があります。調整を行うことで、許可年月日が異なる複数の業種の許可年月日を統一できますので、以後の更新を同じタイミングで行うことができるようになります。
調整の方法は、次の2つのパターンがあります。

許可の更新時に調整する

建設業許可の更新申請をする際に、有効期間の残っている他の業種についても同時に一件の許可の更新として申請することができます。

業種追加時に更新して調整する

新たに業種を追加する際に、有効期間の残っている従来の業種についても同時に許可の更新をすることができます。ただし、追加業種の審査期間が必要なため、既存の許可業種の有効期間が1か月半以上残っている必要があります。
業種追加の許可年月日に更新する業種の許可年月日を合わせることになりますので、許可年月日に思い入れがある場合は新たな許可年月日に変わってしまいますのでご注意ください。

建設業許可の業種追加申請をサポート

業種追加の手続きを行うには、それなりの知識と労力を要します。弊所では、建設業者様にスムーズに業種追加を行っていただくためのサポートをご用意しております。

内容サポート料(税込)法定手数料合計(税込)
業種追加77,00050,000127,000
※専任技術者の証明が国家資格ではない場合は、別途お見積りいたします。

ご相談時にご用意いただきたいもの

次の書類などをご用意いただけますと、業種追加が可能かどうかがスムーズに確認できます。

・直近の建設業許可申請書の控え

追加業種の専任技術者になる方の
・健康保険被保険者証のコピー(常勤性の確認)
・合格証明書、または実務経験を証明する書類(契約書、注文書+請書、請求書+入金記録などを10年分)

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