建設業許可が失効してしまった事業者が再度許可を取得する場合

建設業許可の更新をせずに許可が失効してしまった事業者様から、許可の再取得に関するご相談を受けることがあります。直前まで許可を取得していたので簡単に再取得できると思われている方もいますので、許可が失効してしまった際の注意点と申請手続きについて解説していきます。※栃木県知事の一般建設業許可を例に解説します。

建設業許可が失効してしまった場合

建設業許可の有効期間は5年間で、引き続き建設業許可を更新して営業する場合は、栃木県では原則、有効期限満了日の3ヶ月前から30日前までに更新の手続きが必要です。更新できなかった場合、許可は失効してしまいますので建設業許可業者ではなくなります。
>>許可の有効期間と更新についての詳細はこちら

なお、「建設業法第29条の3」には、建設業許可が効力を失った場合等について規定されていますので簡単に確認しておきましょう。

建設業法第29条の3から抜粋
建設業許可がその効力を失つた場合、許可がその効力を失う前に締結された請負契約に係る建設工事に限り施工することができる。この場合において、許可がその効力を失つた後、2週間以内に、その旨を当該建設工事の注文者に通知しなければならない。

まとめると次のようになります。

  • 許可が失効してしまう前に締結された請負契約に関する建設工事については施工することが可能
  • 許可が失効してから2週間以内に注文者に許可が失効したことを通知する必要がある

知らなかったという方も多いのですが、許可の失効後は注文者への通知義務がある点にはご注意ください。なお、当然ですが許可が失効した状態で法定金額以上の工事を請け負うことは建設業法違反になります。

建設業許可の申請

許可失効後に、建設業の許可が必要な場合は「新規申請」を行うことになります。先日まで許可業者だったとしても、申請書類が免除されることはなく、初めて申請をする事業者と同じ手続きが必要になります。
改めて建設業許可の要件を確認しておきましょう。
>許可の詳細についてはこちら”>>>建設業許可の詳細についてはこちら

建設業許可の要件
  • 経営業務の管理責任者がいること
  • 適切な社会保険に加入していること
  • 営業所ごとに専任技術者がいること
  • 請負契約に関して誠実性があること
  • 財産的基礎または金銭的信用があること
  • 欠格要件に該当していないこと
  • 経営業務の管理責任者がいること

    一般的には、常勤の役員のうち1人が5年以上「法人の役員、事業主又は支配人、建設業法上の支店長、営業所長等」としての経営経験があることが求められます。
    他の要件についてはここでは省略します。

    適切な社会保険に加入していること

    必要に応じて雇用保険、労災保険等への加入義務があります。
    ※事業者様の環境により加入義務は異なります。

    営業所ごとに専任技術者がいること

    営業所ごとに「工事の技術上の責任者」が常勤する必要があります。専任技術者には、許可業種に関しての一定の資格や実務経験のある技術者がなることができます。

    請負契約に関して誠実性があること

    法人や役員等が請負契約の締結に関して詐欺、脅迫等違法な行為をしないことや、工事内容、工期等が契約に反しないことが求められます。

    財産的基礎または金銭的信用があること

    一般建設業許可の新規申請では、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

    • 自己資本の額が500万円以上ある
    • 500万円以上の資金調達能力がある

    貸借対照表の「純資産合計」が500万円以上あれば問題ありませんが、500万円未満の場合は、金融機関等の残高証明書で500万円以上の残高があることを証明します。

    欠格要件に該当しないこと

    以下に、欠格要件の一部をご紹介します。
    この要件に、法人や役員等が該当する場合は許可を取得することはできません。

    欠格要件
    1. 法人にあってはその法人・役員等、個人にあっては事業主・支配人及び建設業法令第3条に規定する使用人が次に掲げる事項のいずれかに該当するときは許可は受けられません。
      1. 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの又は破産者で復権を得ないもの
      2. 不正の手段により建設業の許可を受けたこと等の理由によりその許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
      3. 許可の取消処分に係る聴聞通知を受け取った後、廃業の届出をした場合に届出の日から5年を経過しないもの
      4. 許可の取消処分を免れるため廃業の届出を行った場合に、許可の取消処分に係る聴聞の通知の日前60 日以内に当該届出に係る法人の役員若しくは建設業法施行令第3条に規定する使用人であった者又は当該届出に係る個人の建設業法施行令第3条に規定する使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しないもの
      5. 営業停止の処分を受け、その停止の期間が経過しない者
      6. 許可を受けようとする建設業について営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
      7. 次に掲げる者で、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
        • 禁錮以上の刑に処せられた者(死刑>懲役>禁錮)
        • 建設業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた者
        • 建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、職業安定法及び労働者派遣法のうち建設業法施行令第3条の2に定める規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた者
        • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた者
        • 刑法第204条(傷害罪)、第206条(現場助勢罪)、第208条(暴行罪)、第208条の3(凶器準備集合罪)、第222条(脅迫罪)、第247条(背任罪)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられた者
      8. 暴力団の構成員である者、暴力団の構成員でなくなった日から5 年を経過しない者、又は暴力団員等がその事業活動を支配する者
    2. 許可申請及びその添付書類中の重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。

    ※スピード違反でも超加速度によっては懲役刑になることがあります。申請の前に役員等が欠格要件に該当していないかしっかりと確認しておく必要があります。

    許可要件の証明

    建設業許可の要件を満たしていることを書類等で証明する必要があります。
    許可を取得していたときと同じ「経管」と「専技」であれば、過去の申請書類で証明が可能かどうかを行政庁に確認します。もし、書類が残っていない場合は、通常の新規申請と同じく、要件を満たす書類を用意します。
    なお、社会保険の加入状況や財産的基礎の証明書類については、直近のものが必要です。

    まとめ

    建設業許可が失効した場合、次の点に注意が必要です。

  • 許可が失効してしまう前に締結された請負契約に関する建設工事については施工することが可能。
  • 許可が失効してから2週間以内に注文者に許可が失効したことを通知する必要がある。
  • 許可を再度取得する場合は、過去に建設業許可業者だったからといって書類の免除等はなく、通常の新規申請と同じ扱いになりますので、要件を満たすことをイチから証明することになります。

    許可が失効してしまい、再取得でお困りの際は弊所へご相談いただければと思います。
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