宅地建物取引士証の交付申請手続き(栃木県)

・宅建士の試験に合格した後どうすればいいの?
・合格しただけでは宅建士ではないの?
・不動産業界での経験がないけど大丈夫?

宅建士の試験に合格した方は、「宅地建物取引士試験合格者」であって、まだ「宅地建物取引士」と名乗ることはできません。

「宅地建物取引士」と名乗るためには、「宅地建物取引士証」の交付を受けなければならないのですが、自動車の運転免許証のように、試験に合格すれば交付されるような単純なものではありません。

合格はしたものの、宅地建物取引士証の交付を受けるにはどういった手続きが必要なのかお困りの方も多いのではないでしょうか?

今回は、私の経験も交えながら不動産業界での経験の無い方が宅地建物取引士証の交付を受けるまでの流れを解説していきます。

宅地建物取引士証交付までの流れ

試験に合格しただけでは宅地建物取引士証の交付申請はできません。
取引士証の交付を受けるには、いくつかのステップがあり、ひとつずつクリアしていく必要があります。

宅地建物取引士資格登録の要件

宅地建物取引士の資格登録簿への登録申請を行うためには、以下の3つの要件のいずれかを満たしていなければなりません。

宅地建物取引士資格登録の要件
1.登録申請前10年以内に、通算して2年以上の宅地又は建物の取引に関する実務経験がある

2.登録申請前10年以内に、国土交通大臣が指定する登録実務講習実施機関において、宅地又は建物の取引に関する登録実務講習を修了した

3.登録申請前10年以内に、国、地方公共団体又はこれらの出資を伴い設立された法人における、宅地又は建物の取得、交換又は処分に関する業務に主として従事した期間が通算して2年以上ある

不動産会社に2年以上勤めている方であれば、会社が作成する実務経験証明書で証明することは可能ですが、それ以外の方には基本的に実務経験がありませんので、まずは国土交通大臣が指定する機関で「登録実務講習」を受講することになります。

STEP1.登録実務講習

登録実務講習は基本的には2日間受講し、最終日の修了試験に合格することで修了証がもらえます。
宅建士の試験を合格した方であれば、それほど難しいものではありませんので、登録を考えている方は知識があるうちに受講することをオススメします。

参考までに、私が受講した「東京リーガルマインド様」の登録実務講習の流れを紹介していきましょう。

【東京リーガルマインド様の実務講習】
①自宅学習
②2日間のスクーリング(計12時間の講義、最終日に修了試験)
修了試験は1時間で、「○×式」20問、「記述式」20問でそれぞれ8割以上の正解が必要です。
③修了証の受け取り

自宅学習

登録実務講習の申込み後、10日程で教材が送付されてきますので、同梱のDVDを見ながら1ヶ月ほど自宅学習を行います。
自宅学習では、「手引・通信課程問題」という冊子の巻末に載っている通信課程問題(60問)を繰り返し解くことが重要です。
というのも、最終日の修了試験の○×式の20題がここから出題されるからです。
わからなかった問題は、テキストの参照ページが書かれていますので、テキストに戻って確認するといった感じでいいと思います。
自宅学習では、テキストをしっかり読むというよりは○×問題の確認がメインで、あとはザッと内容を確認する程度でした。
もちろん、宅建士としてやっていくうえでは必要な知識ですので、実務講習が終わった後で復習する必要はあります。

スクーリング

スクーリングは、会場に出向いて講義を受ける形になります。
遅刻・途中退室・中抜けをしてしまうと失格扱いになるため修了証はもらえません。交通機関の遅れであっても考慮してもらえませんので、ゆとりをもった行動が必要です。

スクーリングでは、テキストや資料集を使って講師が解説していきます。
修了試験には、テキストや資料など指定された教材の持ち込みが認められていますので、講師が重要だと指摘したような部分には付箋等を貼っておくと便利です。時間が限られていますので、ある程度はどこに何が書いてあるかが分かるようにしておくと余裕を持って修了試験に臨めます。

気になる修了試験の難易度ですが、○×式は事前に範囲がわかっていますし、記述式に関してもテキストを見ることが可能ですので、それほど難しいものではありません。
ホームページでも例年99%以上の方が修了されていると書いてありますし、私が受講したときも、終了時刻よりも前に退出される方が多くいました。

修了証の受け取り

スクーリングの修了試験に合格すると、後日「修了証」が自宅に送られてきます。
修了証は受け取ったけど、すぐには宅地建物取引士として登録する予定が無い方は、紛失しないよう大切に保管してください。

なお、修了証には「有効期限」があり、都道府県により扱いが異なりますので、ご自身が登録される都道府県にご確認ください。
栃木県では講習修了後10年以内に「宅地建物取引士の資格登録簿への登録」を行わないと、修了証は無効になってしまいます。
もし、修了証の期限が切れてしまった場合は、再度登録実務講習を受講することになりますのでご注意ください。

登録実務講習実施機関

登録実務講習を実施している機関の一部をご紹介します。
実施機関によって、内容や金額が異なりますのでホームページ等で確認して、ご自身に合った機関で受講してください。(2020年7月30日現在)
栃木県で受講できる機関は限られますので、早めの申込みが必要です。

新型コロナウイルスによる影響で、中止や変更になることもありますので、詳しくは、各実施機関へお問い合わせください。
登録機関名
株式会社日建学院  ※宇都宮市で受講可
株式会社総合資格  ※宇都宮市で受講可
公益財団法人不動産流通推進センター
株式会社日本ビジネス法研究所
一般社団法人TAKKYO
株式会社東京リーガルマインド
TAC株式会社

STEP2.宅地建物取引士資格登録簿への登録の申請

登録実務講習の修了証が届いたら、「宅地建物取引士資格登録簿への登録」の申請を行います。この申請は、宅地建物取引士の試験に合格した都道府県に申請します。例えば、栃木県で合格した人が東京に引っ越した場合は、合格した栃木県に申請をすることになります。
この登録が完了すると、「宅地建物取引士資格者」となります。

栃木県で資格登録簿への登録を行うには、以下の書類が必要になります。

資格登録簿への登録に必要な書類

宅地建物取引士登録申請書
誓約書
実務講習修了証または実務経験証明書講習修了後10年以内のもの
従業者名簿の写し実務経験で証明する場合
従業者証明書の写し宅地建物取引業者に従事している場合
住民票抄本発行日から3ヶ月以内
マイナンバーの記載なし
身分証明書発行日から3ヶ月以内
本籍地の市区町村役場で発行
登記されていないことの証明書発行日から3ヶ月以内
法務局で発行
宅地建物取引士資格試験の合格証書(原本)及びそのコピー
顔写真1枚 縦3.0cm×横2.4cm
申請前6ヶ月以内のカラー
印鑑認め印でも可
登録手数料 37,000円分の栃木県収入証紙
※県の収入証紙は、県庁生協、足利銀行、(公社)栃木県宅地建物取引業協会等で取り扱っています。

資格登録簿への登録の申請

栃木県県土整備部住宅課
〒320-8501 宇都宮市塙田1-1-20 県庁舎本館14階(北東側)
TEL 028-623-2488

本人確認のため、本人持参による申請が原則ですが、県外在住の方は郵送による申請も可能です。詳細は申請先にご確認ください。
なお、申請からおよそ30日で登録が完了し、登録通知書が自宅へ送付されます。
補足ですが、県の名簿へ登録されますので、「氏名・住所・本籍・勤務先・電話番号」に変更があったときは、「変更登録の申請」が必要になりますので忘れないようご注意ください。

それでは、宅地建物取引士証の交付申請手続きへ進みましょう。

STEP3.宅地建物取引士証の交付申請

宅地建物取引士証の交付申請は、試験に合格してからの経過年数によって異なりますので、それぞれ解説していきます。

合格後1年超の場合

合格後1年を経過している場合、法改正が行われていたり、知識の再確認も必要なため、交付申請を行う前に、宅地建物取引士資格登録をしている都道府県の法定講習を受講しなければなりません。
栃木県では、「法定講習」の実施機関として(公社)栃木県宅地建物取引業協会と(公社)全日本不動産協会栃木県本部が指定されています。

協会に電話することで申込み用紙を送付してもらうこともできますし、近くにお住まいの方は直接申込みすることも可能です。直接申込みする場合でも、事前に協会に連絡して必要な持ち物を確認するようにしてください。

会名電話番号
栃木県宅地建物取引業協会028-634-5611
全日本不動産協会栃木県本部028-666-4554

合格後1年超えの取引士証交付申請に必要な書類等

宅地建物取引士証交付申請書
交付手数料4,500円分の栃木県収入証紙
法定講習受講料12,000円
登録通知書(葉書)
法定講習受講申請書
顔写真3枚縦3.0cm×横2.4cm
申請前6ヶ月以内のカラー
裏面に氏名を記入
運転免許証などのコピー

法定講習は、基本的には宅地建物取引士資格登録がされている都道府県で受講します。
栃木県に資格登録がされている方は、他県に引っ越しをしたとしても基本的には栃木県の法定講習に参加することになります。
ただ、東京都のように他県登録者の講習参加を認めている(一部の府県は除かれます)こともありますので、登録している県とは異なる県にお住いの方は、ご自身が住んでいる都道府県の法定講習実施機関にお問い合わせください。

新型コロナウイルスによる影響で、法定講習の内容に変更があります。詳しくは、各協会へお問い合わせください。

合格後1年以内の場合

合格後1年以内であれば、最新の法律で学んでいますから、都道府県知事が指定する法定講習の受講は免除されますので、すぐに取引士証の交付申請が可能です。

合格後1年以内の取引士証交付申請に必要な書類等

宅地建物取引士証交付申請書
交付手数料4,500円分の栃木県収入証紙
登録通知書(葉書)
顔写真2枚縦3.0cm×横2.4cm
申請前6ヶ月以内のカラー
裏面に氏名を記入

合格後1年以内の取引士証交付申請先

新型コロナウイルスによる影響で、変更点があるかもしれませんので、申請の前に各協会へお問い合わせください。

協会名電話番号
栃木県宅地建物取引業協会028-634-5611
全日本不動産協会栃木県本部028-666-4554

STEP4.宅地建物取引士証の交付

合格から1年を超えていて、法定講習を受講された方は、法定講習の終了後に宅地建物取引士証が交付されますし、合格後1年以内の方であれば、申請後約2~3週間で交付されます。

宅地建物取引士証の交付を受けると、5年ごとに法定講習を受講して取引士証を更新する義務が発生しますので、お金と時間がかかります。
もし、宅建士として活動する予定がないのであれば、宅地建物取引士証の交付を急ぐ必要はないと思います。

とはいえ、合格したまま放置していると、知識が抜け落ちた状態で登録実務講習を受講することになりますので、修了試験も容易ではありません。
ということで、すぐには宅建士しての活動予定がない方は「宅地建物取引士資格登録簿への登録」まで済ませておくことをオススメします。

宅建士として活動しないのに、登録実務講習と資格登録の手数料で60,000円程度かかってしまうので躊躇してしまいそうですが、登録まで済んでいれば、10年後でも20年後でも、いざ取引士証が必要になったときは法定講習を受講して交付申請をするだけで宅地建物取引士証が交付されます。

実務講習の受講から始めるとなると、取引士証の交付まで数ヶ月かかるかもしれませんので、法定講習の受講だけで済むのは大きなメリットになります。

宅建業(不動産事業)を始めるには

宅地建物取引士証を交付され、宅地建物取引士になれば不動産会社の宅建士としては活動できますが、自身で不動産事業を始めることはできません。
不動産事業を始めるためには、さらに別の「宅地建物取引業免許」が必要になります。

不動産事業を始めようと考えている方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

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