宅地建物取引士が就職する前に確認しておくこと

不動産会社に初めて就職する方や、別の不動産会社へ転職される方も多いと思います。もし、就職先で宅地建物取引士として活動されるのであれば、入社する前に確認しておいて欲しいことがあります。

就職先でより良いスタートを切るためにも、注意すべき点を確認しておきましょう。

取引士証は有効ですか?

試験に合格して、宅地建物取引士証の交付を受けてすぐに就職する方なら問題ありませんが、交付を受けてから何年も経過している場合、取引士証の期限が切れていることがあります。

「まだ大丈夫なはず」と思っていたけど、「実は期限切れだった・・・」なんてことになると手続きが大変です。ギリギリになって慌てることのないよう、前もって取引士証の有効期限は確認しておいてください。
有効期限は、取引士証の中央の青い部分に記載してあります。

期限切れの場合は、再交付の申請を行うのですが、法定講習の受講からになりますので、取引士証の交付まで2・3ヶ月かかることもありますよ。

届出を忘れていませんか?

宅地建物取引士は、都道府県の宅地建物取引士資格登録簿に登録されていますので、登録内容に変更が生じた場合は、申請が義務付けられています。

宅地建物取引業法 第20条第1項
宅地建物取引士の登録を受けている者は、登録を受けている事項に変更があつたときは、遅滞なく、変更の登録を申請しなければならない。

登録を受けている事項とは、「氏名、住所、本籍、従事先」 の4項目です。

「遅滞なく申請しなければならない」となっていて、「いつまでに」という明確な期限はありませんが、正当な理由が無いのに申請を遅らせることはできません。

申請をしていないと、最悪の場合、新しい会社に就職する際に手続きがストップしてしまい、入社早々に迷惑をかけることにもなりかねません。
さすがに印象が悪いですから、変更があればその都度申請することを心がけてください。

初めて宅地建物取引士として働く方

初めて宅地建物取引士として働く方は、従事先は未登録の状態ですから、「氏名・住所・本籍」に変更があった場合に申請することになります。

合格後に宅地建物取引士として働く予定が無かった方でも、宅地建物取引士証の交付を受けたり、「宅地建物取引士資格登録簿への登録」までは済ませている方も多いと思います。

交付や登録から何年も経過していると、引っ越しをしたり、結婚によって姓に変更があっても、申請を忘れてしまうことがあるようです。
もし、住所変更を忘れてしまうと、「更新の案内」が旧住所に発送されてしまい、更新手続きができずに免許が失効してしまうかもしれません。
また、氏名に変更があった場合は、宅地建物取引士証を新たに作成しなおさなければなりません。

初めて宅地建物取引士として活動をする際には、「氏名・住所・本籍」が登録したときから変更がないかご注意ください。

別の会社で宅地建物取引士として勤務していた方

初めて宅地建物取引士として働く方と同様に、「氏名・住所・本籍」に変更があったときは申請が必要ですが、忘れがちなのが、退職した際の「従事先」の申請です。

専任の宅地建物取引士が退職すると、会社は「変更届出書」を提出しますが、これはあくまでも会社が登録している専任の宅地建物取引士に変更があったことを届け出る書類になります。
この書類だけでは宅地建物取引士個人の宅地建物取引士資格登録簿の従事先までは変更されませんので、宅地建物取引士は、自身で変更の登録を申請して、「従事先」の欄を空欄にしておく必要があります。

従事先が空欄になっていない場合は、退職した会社に勤めている状態になるため、原則、新しい会社を登録することはできません。

とはいえ、宅建業法では「変更があったときは、”遅滞なく”申請しなければならない」となっていて、明確な期間が定められていないこともあり、従事先が空欄になっていなくても、新しい会社に就職する際に、変更前と変更後をまとめて申請することを認めている行政庁もあります。

都道府県によって運用が異なりますので、登録先の行政庁に確認することをオススメします。

栃木県では、変更前と変更後をまとめて申請することを認めています。そうは言っても、しばらく不動産会社に勤める予定がないのであれば、「従事先なし」と申請するようにしてください。

宅地建物取引士資格登録簿変更申請書の書き方

「登録内容に変更があったから、申請しよう!」と思っても、初めての方であればそもそも記入の仕方がわからないでしょうし、なんとなく書いてはみたけどこれで大丈夫?と不安に思うこともありますよね。

ここからは、住所変更、勤務先の退職、就職をする場合の記載方法について解説していきます。

ちなみに、申請に使用する書類は、「宅地建物取引士資格登録簿変更申請書」という書類です。

住所を変更した場合

住所と本籍を変更する場合のサンプルになります。
変更がなければ記入は不要ですので、もし、本籍に変更がないのであれば、「12.住所」欄だけに記入します。

【 添付書類 】

住民票の抄本(1部)発行日から3ヶ月以内(マイナンバーの記載がないもの)

住所欄を記入する際の注意点

変更年月日には、住民票に記載の転入日を記入します。
住民市区町村コードには、全国地方公共団体コードの該当するコードを記入します。
なお、住所は住民票の表記が「1丁目1番地1号」となっている場合でも、「1-1-1」というように、-(ダッシュ)を使用して記入する必要があります。
また、マンションやアパートにお住まいであれば、住所から1文字分空けて建物名と部屋番号を記入します。

本籍欄を記入する際の注意点

変更年月日には、本籍を移転した日(婚姻日や転籍日等)を記入します。
本籍には、丁目、番地等を-(ダッシュ)で省略せずに、戸籍抄本に記載されているとおりに記入します。

退職した場合

勤務先を退職した場合は、従事先が無くなったという届出を行います。

変更前の欄に、退職日、退職した会社名、免許証番号を記入します。
変更後の欄を空白にして提出することで、自分がどこにも所属していないフリーの宅地建物取引士の状態として登録されます。

本来、退職した場合は、この状態にしておくことが求められています。

【 添付書類 】

退職証明書代表者印のあるもの

就職した場合

変更前の従事先が空欄の場合

宅地建物取引士として就職していた会社を退職した際に、「退職した場合」で説明したように、変更後の欄を空白にして申請した場合は、従事先は「フリーの状態」になっていますので、変更前の欄は空欄のままにして、変更後の欄に新しく就職した会社を記入します。

【 添付書類 】

就労証明書代表者印のあるもの

従事先の前と後の変更を一括で認めている場合

変更前と変更後をまとめて申請することを認めている場合の記入例です。都道府県によってはこの方法を認めていないことがありますのでご注意ください。

【 添付書類 】

退職証明書代表者印のあるもの
就労証明書代表者印のあるもの

従事先の前と後の変更を一括で認めていない場合

退職した後に変更の申請をしていない場合、退職した会社に勤めている状態のままになります。この状態で変更前の欄に退職した会社、変更後の欄に新しく勤める会社を記入する方法を認めていない都道府県もありますので、その場合は、申請書を2通提出することになります。
①退職の申請(従事先を空欄にするため)
 退職証明書を添付
②就職の申請(新しい従事先を登録するため)
 就労証明書を添付

まとめ

宅地建物取引士証の期限が切れていると、再交付までに2・3ヶ月かかることもありますので、更新を忘れていないか注意が必要ですし、宅地建物取引士は、都道府県の宅地建物取引士資格登録簿に登録されていますので、「氏名・住所・本籍・従事先」の登録内容に変更が生じた場合は、変更の登録をしなければなりません。

忙しいとついつい忘れてしまいそうですが、期限切れや申請を忘れていたために、就職先に迷惑をかけないよう、事前に確認しておくことを忘れないようにしてください。

まだ、宅地建物取引士証の交付を受けていない方は、こちらの記事で交付までの流れを説明しています。

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