・専任技術者には誰が就任できるの?
・該当する人がいない場合はどうなるの?
経営業務の管理責任者と同じく、建設業許可の要件になっている「専任技術者」ですが、人事異動や退職や急な病気などで前任者が退任してしまった場合は、どのような手続をしたら良いのでしょうか。
専任技術者がいない状態のまま放置したり、要件を満たさない人を届出してしまうなど、誤った手続をしてしまうと、許可が取り消される恐れもあります。
許可を継続するためにも、正確に把握しておきましょう。
目次
一般建設業の専任技術者とは
手続の方法の説明に入る前に、「専任技術者」について簡単に確認しておきましょう。
専任技術者とは、わかりやすく言えば「工事の技術上の責任者」で、営業所に常勤する人のことです。 次の要件を満たすと専任技術者になることができます。
国家資格で証明
許可を受けようとする業種に対応した国家資格を持っていると、実務経験がなくても専任技術者になれます。
例えば、「1級土木施工管理技師」の資格があると次の9業種の専任技術者になれます。
土木工事業 | とび・土工工事業 | 石工事業 |
鋼構造物工事業 | 舗装工事業 | しゅんせつ工事業 |
塗装工事業 | 水道施設工事業 | 解体工事業 |
また、「1級建築士」の資格があると、次の6業種の専任技術者になれます。
建築工事業 | 大工工事業 | 屋根工事業 |
タイル・れんが・ブロック工事業 | 鋼構造物工事業 | 内装仕上げ工事業 |
ご覧いただいたように、資格によっては複数の業種の専任技術者にることができますし、合格証明書などで証明ができますので、許可の取得の面では非常に有利になります。
実務経験で証明
資格保有者がいない場合、実務経験を証明することで専任技術者になることができます。
許可を受けようとする業種に関係する学校を卒業している場合
- 高校の指定学科を卒業してから、5年以上の実務経験がある
- 大学の指定学科を卒業してから、3年以上の実務経験がある
許可を受けようとする業種に関して10年以上の実務経験がある(学歴・資格を問わない)
例えば、勤続してから15年間「内装仕上」の工事に携わっている社員がいる場合、10年以上の実務を経験したことを証明する書類(契約書、請求書、注文書などを10年分)を提出することで、専任技術者になることができます。
実務経験を証明するには、10年分の書類が必要です。10年以上の実務経験があったとしても、証明する書類が不足していれば認められませんので、許可は取得できません。書類はしっかりと保管しておくようにしてください。
専任技術者の設置
専任技術者は、営業所ごとに常勤が求められますので、例えば、本店とは別に営業所が2つある場合は、専任技術者は3名必要になります。
なお、経営業務の管理責任者が、専任技術者を兼務することもできますので、要件を満たすのであれば、兼務されることをおすすめします。
専任技術者が欠けてしまう場合の手続
営業所ごとに、設置が必要な専任技術者ですが、退職や人事異動などでその営業所からいなくなってしまう場合があります。
専任技術者を設置することは、建設業許可の要件になっていますので、欠けた状態のまま放置していると、許可が取り消されることにもなります。
ここからは、専任技術者が欠けてしまう場合の手続について確認していきましょう。
代わりになる専任技術者がいない場合
【2週間以内】
「届出書(様式第22号の3)」で専任技術者が欠けたことを届出します。
【30日以内】
専任技術者がいなくなることで、対応業種を続けることができない場合は、「廃業届(様式22号の4)」を提出します。
代わりになる専任技術者がいる場合
【2週間以内】
- 変更届出書(様式第22号の2)で専任技術者が変更したことを届け出
- 専任技術者証明書(様式第8号)前任者の削除分と後任者の追加分の2名分
- 新たな技術者の技術資格等に関する書類。合格証明書、実務経験証明書(様式第9号)など
- 常勤性の確認書類。健康保険被保険者証の写しなど
- 専任技術者一覧表(様式第1号の別紙4)
専任技術者の変更時の注意点
専任技術者を変更する際に出てきた「2週間」という期間は、届出までの期間のことですので、2週間以内に後任者を置けばよいということではありません。
前任者がいなくなってから1日でも専任技術者がいない日が無いように、後任の専任技術者を置かなければなりません。
中小企業では、社長が「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」を兼ねるケースが多くあります。
もし、社長が病や事故で突然入院することになってしまった場合、経営業務の管理責任者と専任技術者の代わりになる人を用意しなければなりません。
「経営業務の管理責任者」も、「専任技術者」も1日でもいない日があってはいけませんので、事が起こってから対応方法を検討していたのでは間に合いません。
廃業や許可の取消処分にならないためにも、日頃から専任技術者が欠けてしまった場合にはどうするのかを、検討しておくことが重要です。
日頃から社員に資格の取得をさせるなどして、業種に対して常に資格者が複数在籍しているようにしておくと、いざというときに、慌てることなく専任技術者の変更手続を行うことができますよ。
専任技術者が変更になる場合のまとめ
専任技術者が変更になる場合、専任技術者が1日でもいない状況が無いようにすぐに後任の専任技術者を配置しなければなりません。また、変更届出書などの各種書類は2週間以内に提出する必要があります。
もし、専任技術者の要件を満たす者がいないと、最悪の場合は「廃業」もしくは「許可の取消」になってしまいます。許可を継続していくためにも、日頃から社員に資格の取得を促すなど、専任技術者の要件を満たす者を育成することが求められます。
専任技術者の変更をサポート
行政書士たどころ事務所では、建設業許可を取得後に専任技術者の変更手続が発生した場合の手続をサポートしています。
どんなに本業で忙しくても、専任技術者の変更の手続は2週間以内に行う必要があります。
もし、専任技術者の変更でお困りでしたら、行政書士たどころ事務所にご相談ください。
弊所のサポートをご利用いただく際の目安は以下のとおりです。
専任技術者の変更 | 44,000円(税込) |
ご相談時にご用意いただきたいもの
次の書類などをご用意いただけますと、スムーズにお話をすることができます。
・健康保険被保険者証のコピー(常勤性の確認)
・合格証明書、または実務経験を証明する書類(契約書、請求書、注文書などを10年分)