・中古物件を買い取ってリフォームして販売する
建設業者様が上記のような事業を行う場合、土地や建物の売買を行うことになりますので、宅地建物取引業免許(宅建業免許)が必要になります。
建設業者が宅建業免許を取得するメリット
建設業許可と宅建業免許の両方を取得していると、自社で購入した土地に戸建住宅やアパートを建築して販売することができますし、中古物件を安く購入してリフォームして販売することでも利益が見込めます。
また、住宅を販売したお客様からリフォームや修繕のご依頼をいただいたり、アパートの賃借の媒介や管理業務なども収入になります。建設業のお客様が宅建業のお客様につながったり、その逆になることもありますので、事業の幅が拡がる点はメリットといえます。
不動産事業を新設する際の注意点
- 既存の建設会社に不動産事業の部門を新設する
- 建設会社とは別の不動産会社を設立する
建設業者様が不動産事業を兼業するにあたり、既存の会社に不動産部門を新設する場合と、別の不動産会社を設立する場合とでは免許要件に違いがあります。宅建業免許は事務所の要件が厳しいため、代表者が同じだからと安易に別会社を設立してしまうと、免許の取得が困難になることもありますので注意が必要です。
事務所の形態
宅地建物取引業免許での事務所は、一般的に次のように解釈されています。
• 社会通念上も事務所として認識される程度の独立した形態を備えていること
同一法人の場合
「独立した形態を備えていること」という要件がありますが、既に営んでいる建設会社に新たに不動産事業の部門を立ち上げる場合は同一法人になりますので、事務所の形態については特に意識する必要はありません。
別法人の場合
建設会社とは別の法人を設立する場合は、「独立した形態を備えていること」という点に注意しなければなりません。代表者が同じだとしても別法人ですので、他の事業者と同居しているとみなされるからです。
他の事業者と同居するには、次の条件を満たす必要があります。
• 他業者と固定式のパーテーション(栃木県は170cm以上)などで明確に区切る
• 事務所としての形態が整えられ、事務所としてのみ使用する
建設会社と同じフロアに不動産会社を新たに設立する場合には、次のような対策を講じます。
同居する建設会社の入り口とは別に不動産会社用の入り口を作り、部屋の中も明確に区切ります。もし、区切るための壁がない場合はパーテーション等で区切ることになりますが、栃木県では170cm程度以上の高さで固定式のものを設置することが求められています。
別法人として同居する場合は、事務所要件を満たすために工事が必要になることもありますので、免許申請の前に行政庁に確認することをおすすめします。
専任の宅地建物取引士の設置
宅建業免許を取得するには、宅建業に従事する者5人に1人の割合で専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。
なお、建設業の業務しか行わず、不動産事業に関与しないのであれば、従事する者にカウントする必要はありません。
宅地建物取引士には専任性が求められますので、建設業と兼務がある場合は、勤務実績や業務量によって行政庁で判断されることになりますが、ここでも同一法人と別法人とでは判断に違いがあります。
同一法人の場合
既存の建設会社に宅建業部門を新設する場合、建設業の専任技術者として登録されている者が、専任の宅地建物取引士を兼務するには、勤務実績や業務量によっては認められる可能性があります。
別法人の場合
建設業とは別法人の不動産会社を立ち上げる場合は、建設会社の代表者や常勤役員や専任技術者に就いている者は、建設会社での専任性が求められるため、不動産会社の専任の宅地建物取引士になることは認められません。
ただし、建設会社の役員であっても、非常勤であれば「非常勤証明書」を提出することで認められます。
登記上の本店に要注意
例えば、宇都宮市を本店として登記している建設会社が、栃木市に不動産部門の事務所を新設しようと検討しているとします。
- 宇都宮市は建設業のみ
- 栃木市は宅建業のみ
宅建業を営むのは栃木市の事務所だけだとしても、登記されている宇都宮市の本店が宅建業法での本店、栃木市の事務所は従たる事務所として扱われます。
これを踏まえて、宅建業の免許要件を確認してみましょう。
• 専任の宅地建物取引士を設置する
• 事務所の要件
• 政令で定める使用人の常駐
• 営業保証金の供託または保証協会への加入
ここで注目するのは、2つ目の「専任の宅地建物取引士の設置」です。
先述のとおり、登記上の本店の宇都宮市では建設業しか営まないとしても、宅建業法では本店として扱われますので、免許要件を満たすためには「宇都宮市」と「栃木市」それぞれの事務所に専任の宅地建物取引士を設置しなければなりません。
つまり、最低でも会社に2人の宅地建物取引士が必要ということになります。
宅地建物取引士が足りなければ、免許は取得できません。登記上の本店とは別の事務所で不動産事業を検討している場合はご注意ください。
なお、本店と従たる事務所がある場合は、保証協会への入会金や弁済業務保証金分担金の額も変わってきますので、事前に保証協会に確認することをオススメします。
宅建業免許取得をサポート
行政書士たどころ事務所では、宅建業免許の取得をサポートさせていただいております。
宅建業免許の申請は、行政庁と保証協会の手続きを平行して行わなければなりませんし、兼業となると事務所要件も厳しくなるため行政庁との打ち合わせも重要になります。本業で忙しい事業者様が、これらの手続きを行うのはとても大変ですよね。
不動産事業の展開をご検討であれば、弊所のサポートを是非ご利用ください。
弊所のサポートをご利用いただく際の目安は以下のとおりです。
許可の種類 | サポート料(税込) | 許可手数料 | 合計(税込) |
---|---|---|---|
知事免許 | 110,000 | 33,000 | 143,000 |
※2人目からは、必要書類収集代行及び書類作成費用として1人当たり5,500円(税込)をいただいております。
印紙代、証紙代、郵便費、切手代等の実費は別途請求となります。
保証協会への加入は、加入する団体や入会キャンペーンの有無によっても異なりますが、本店のみの場合、上記の金額とは別に160万円(供託金本店60万円を含む)程度必要になります。
宅建業免許の徹底解説
宅建業免許についてもう少し詳しく知りたい方はこちらの記事も参照ください。