建設業許可の取得要件でもある「専任技術者」ですが、対象業種に関係する国家資格を保有していなかったり、登録基幹技能者などではない場合は、「実務経験」があることを証明していくことになります。
実務経験の証明方法についてはこちらの記事で解説しています。
今回は、実務経験を証明するための「実務経験証明書」の書き方に絞って解説していきます。
目次
実務経験証明書の記入方法
実務経験証明書は許可を受ける建設工事について記入していきます。
2業種の実務経験を証明する場合は、業種ごとに用紙を分けて記入します。
※1業種10年以上の実務経験が必要で、期間の重複は認められないため、2業種を証明するには”20年”の実務経験を要します。
それでは、実務経験証明書に記入する内容をひとつずつ確認していきましょう。
証明者を誰にするか
基本的には、専任技術者の使用者が証明することになります。
勤め先が変わっていたりすると、証明者が複数になることも考えられます。そうした場合は、証明者が異なりますので勤め先ごとに用紙を分けて記入します。
なお、証明者が建設業許可を持っている場合とそうでない場合とで、添付書類に違いがでてきます。
許可を持っていない建設業者が証明する場合
例えば、一人親方として10年以上の経験を積み、いよいよ建設業許可を取得しようといった場合は、一人親方自身が証明者になります。
その場合は、実務経験を裏付けるために、10年分の請負契約書や注文書等を証明書類として添付することになります。
他にも、以前勤めていた「許可を持たない建設業者」が証明者になる場合も、同じく10年分の添付書類が必要になります。
建設業許可業者が証明する場合
以前勤めていた建設業許可業者に証明していただく場合や、取引先の建設業許可業者に証明していただく場合は、建設業許可業者の代表取締役を証明者欄に記入します。
建設業許可業者が証明する場合は、10年分の請負契約書や注文書等の添付は必要ありません。その代わり、実務経験を証明する期間に建設業許可業者であったことを証明するための書類として、その期間の「許可通知書の写し」を添付します。
使用者の商号又は名称
建設工事の実務経験を積んだときの使用者の商号又は名称を記入します。
以前勤めていた会社に証明していただく場合は、その会社名を記入します。
使用された期間
使用された期間を記入します。
例えば、建設業許可業者での経験と個人事業主としての経験を足すことで10年以上になる場合は、それぞれ別の用紙に記入し、合計で10年以上になることを証明します。
職名
従業員、工事主任、工事課長、取締役等、実務経験を積んだ際の部課名等を記入します。
工事現場の単なる雑務や事務の仕事に関する経験は実務経験には含まれません。
実務経験の内容
使用された期間内で従事した工事名を具体的に記入します。
通年にわたって建設工事に従事していた場合は、代表的な工事を1件記入し、他の工事については、「その他○件」として1年分を1行にまとめて記入します。
基本的に1件だけでは経験年数としては認められないため、最低でも2件以上必要になります。とはいえ、工事の内容にもよりますので申請前に必ず行政庁に確認するようにしてください。
実務経験年数
実務経験の内容に従事した期間を記入し、合計の年月を記入します。
複数枚ある場合は、合計で10年以上になるように記入します。
使用者の証明を得ることができない理由
使用者が証明をできない場合は、以下のような理由を記入します。
- 事業主の経験のみの経験しかない場合・・・「自営のため」
- 使用者が倒産等のため証明できない場合・・・「倒産により使用者が不明のため」
まとめ
専任技術者を10年の実務経験で証明するには、建設業許可業者が証明する場合とそうではない場合とでは必要な添付書類が異なります。
建設業許可業者ではない | 10年分の請負契約書、注文書+請書、請求書など |
建設業許可業者 | 証明する期間を満たす許可通知書の写し |
複数の建設業者で経験を積んだ場合は、その会社ごとに実務経験証明書を作成する必要があります。
また、実務経験の内容は、許可業種の工事と判断できるように記入することが重要です。
解説を見ていただいておわかりのように、実務経験証明書の記入自体はそれほど難しいものではありません。
実務経験の証明を困難にしているのが、10年分の書類です。
建設業許可の取得を検討していないといった事業者様でも、将来のために必要書類は捨てずに保管しておくようにしてください。
建設業許可取得をお考えの方はこちらかで詳細を確認できます。