建設業許可が必要になるのはどんなとき?

建設業許可はなぜ必要?

建設業許可は、発注者である消費者を保護することを目的に作られた制度です。
新築で住宅を建てたのに次第に傾いてきたり、壁の隙間が出てきたり、建築物や工作物に手抜き工事や粗雑な工事をされたとしてもすぐにはわかりませんよね。
何年か経過してから使用に耐えないものだと判明しても困ってしまいます。
また、建設中や完成後に施工業者が倒産してしまえば、手付金や中間金が戻らないどころか、完成しないままになってしまうかもしれません。
もしも、どんな事業者でも建設業を営むことができてしまうと、発注者に不利益が生じてしまう恐れは高いですよね。

そんな状況にならないように、”一定以上の規模の工事”は、基準を満たしている事業者にしか工事をできないようにして、トラブルを未然に防止できるようにしました。
その基準となるのが、建設業許可です。

建設業許可が必要になるのはこんなとき

建設業を開業してすぐは、規模の小さな工事が主となるため、許可を持たずに営業している事業者様も多いのですが、年数がある程度経過してくると、工事内容や取引先とのつながりから、建設業許可の取得を検討するようになります。

ここからは、建設業許可の取得を検討し始める代表的な理由をご紹介していきます。

軽微な建設工事以外の工事を請け負うため

建設業許可は、”一定以上の規模の工事”を請け負う場合に必要だと解説しましたが、建設業法施行令に、「建設業許可が必要ない」工事について定められています。つまり、この定義に該当しない工事は、建設業許可が必要ということになります。

建設業許可が不要な軽微な工事
  1. 1件の工事の請負代金が、500万円(消費税込み)に満たない工事
  2. ただし、建築一式工事については請負代金が1,500万円(消費税込み)に満たない工事、または延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事※2分の1以上を店舗に使用する場合は許可が必要

上記の定義に当てはまらない工事を請け負う場合は、元請・下請に関係なく建設業許可を取得しなければなりません。

営業年数が経過してくると、次第に大きな工事を受注する機会も増えてきますよね。そんなとき、500万円以上の工事が舞い込んできたとしても、建設業許可を持っていなければ受注することはできません。

「500万円以上の工事を受注したい」というのが建設業許可の取得理由で最も多いものになります。

外国人技能実習生を受け入れるため

近年、外国人技能実習生を受け入れる事業者様も多くなってきましたが、令和2年1月1日から、技能実習生を受け入れるにあたり、建設業許可を取得していることが必須要件になりました。
そのせいもあり、建設業許可の取得を検討される事業者様も増えてきました。
余談ですが、外国人技能実習生を受け入れるためには、許可の取得だけでなく、建設キャリアアップシステムへの登録、報酬の安定的な支払い等の義務付け、受入人数枠の設定等を行う必要もありますので注意が必用です。

元請業者から建設業許可を取得するよう促されたため 

建設業許可を取得するということは、「一定の基準を満たしている事業者としての証」を手にするようなものです。
もし、下請業者が無許可にも関わらず500万円以上の工事を受注したことによって処分を受けてしまうと、元請業者も監督処分により営業停止処分を受ける恐れがあります。元請業者としては、建設業許可を取得している事業者であれば大規模な工事も発注できますし、財産的要件や技術者についても建設業許可によって担保されていますので、安心して発注することができます。
そのため、最近では下請業者に建設業許可の取得を求める傾向があります。

以降は、建設業許可の種類について解説していきます。

許可行政庁の違い

建設業許可には許可行政庁によって2つの種類に分かれます。
「都道府県知事許可」と「国土交通大臣許可」の2種類です。

どちらの許可を取得するかは、”営業所”の所在によって決まります。

”営業所”といっても、一般的な営業所ではなく、建設業法上での”営業所”になりますので、定義を理解していないと、間違った許可を取得してしまう恐れがあります。
間違った許可行政庁の許可を取得してしまうと、最悪の場合、建設業の営業ができなくなる恐れもありますので、”営業所”の定義はとても重要になります。

建設業許可の営業所

建設業許可の「営業所」は、常時、建設工事の請負契約の見積りや契約を締結する事務所のことをいいます。
ですから、建設業に無関係な支店や単なる作業場、資材置場、作業員の詰め所などは、建設業法上の「営業所」には該当しません。
ただし、請負契約を常時締結する事務所ではなくても、契約に関する指導監督を行うなど、建設業の営業に実質的に関与する場合は、建設業法上の営業所に該当することになります。

許可の取得を検討されている事業者様は、まずは、建設業法上の営業所がどの都道府県にあるかを確認してください。

国土交通大臣許可

建設業法上の営業所が、2つ以上の都道府県にある場合は、国土交通大臣許可になります。
例えば、栃木県と埼玉県に営業所を設ける場合です。

都道府県知事許可

1つの都道府県内だけに営業所がある場合は、その都道府県知事の許可を取得します。
例えば、栃木県内だけに営業所がある場合は、栃木県知事許可になります。
営業所が1ヶ所でも100ヶ所でも、栃木県内だけならば数に関係なく栃木県知事許可になります。

一般建設業許可と特定建設業許可

営業所の所在によって、「大臣許可と都道府県知事許可」の2種類に分かれると解説しましたが、さらに金額によっても「特定建設業許可」と「一般建設業許可」の2種類に分かれます。

特定建設業許可に該当しないものが一般建設業許可に該当するため、まずは特定建設業許可の要件について解説していきます。

特定建設業許可

最初の発注者から直接請け負う(元請業者)1件の工事があり、規模が大きく元請のみでは仕事が完結できないために、下請企業と下請け契約を締結して工事を行う場合に、下請け金額の合計が4,500万円以上(建築一式工事では7,000万円以上)になる場合は、特定建設業許可が必要になります。

発注者から元請業者が請け負う額ではなく、下請けに出した額の合計です。
下の図で、発注者から8,000万円の工事を受注していますが、その金額は関係なく、元請の建設業者A社が、下請のB社+C社+D社に合計で5,000万円の下請契約をしているので、元請のA社は特定建設業許可が必要になります。

一般建設業許可

上記の特定建設業に該当しない場合は、一般建設業許可になります。
下請け金額の合計額が4,500万円未満(建築一式工事では7,000万円未満)の場合です。
上記の図の場合、建設業者A社が下請を使わずに全て自社で工事を行ったり、下請企業を使ったとしても合計額が4,000万円未満であれば、一般建設業許可になります。

まとめ

建設業許可は、発注者を保護する目的で作られた制度ですので、1件の工事の請負代金が、500万円以上の工事(建築一式工事については1,500万円以上)を請け負う場合に、建設業許可が必要になります。

様々な理由で建設業許可の取得を検討されていると思いますが、やはり「500万円以上の工事を請け負いたい」というのが最も多い理由です。
また、元請業者としても、建設業許可を取得している事業者の方が安心して任せられるということから、下請業者に許可を促すことも増えてきました。
その他にも、法改正により、建設業許可を取得していなければ外国人技能実習生を受け入れられなくなるといった理由から、許可の取得に動く事業者様もいます。

建設業許可は種類がありますので、間違った許可を取らないよう注意が必要です。

”営業所”の所在によって変わる免許権者
【国土交通大臣許可】
2つ以上の都道府県に営業所がある

【都道府県知事許可】
1つの都道府県内にのみ営業所がある

下請企業との下請契約の額によって変わる許可の種類
【特定建設業許可】
下請け金額の合計が4,500万円以上(建築一式工事では7,000万円以上)になる場合

【一般建設業許可】
特定建設業許可にあたらない場合

許可の取得を本格的に検討されている方にはこちらの記事が参考になります。

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