建設業許可は「2つの一式工事」と「27の専門工事」に区分されていますが、今回は、その中でも許可の取得が難しいとされている機械器具設置工事業の許可を取得する際のポイントについて解説していきます。
機械器具設置工事業とは
機械器具設置工事業とは、機械器具の組立て等により工作物を建築し、又は工作物に機械器具を取付ける工事のことをいいます。
例えば、プラント設備工事、運搬機器設置工事、集塵機器設置工事、トンネル・地下道等の給排気機器設置工事などです。
機械器具設置工事は、組立て等が必要な機械器具の設置工事が対象ですので、既に完成している重量物の揚重運搬配置工事は「とび・土工・コンクリート工事」に該当しますので業種の判断には注意が必要です。
間違った許可を取得しないためにも、行政庁に工事内容を説明して、機械器具設置工事業の許可で良いのかを必ず確認するようにしてください。
許可取得の要件
建設業の許可を取得するためには、どの業種であっても次の要件を満たさなければなりません。
- 経営業務の管理責任者がいること
- 適切な社会保険に加入していること
- 専任の技術者がいること
- 請負契約に関して誠実性があること
- 財産的基礎または金銭的信用があること
- 欠格要件に該当しないこと
- 営業所があること
その中でも重要な要件である、経営業務の管理責任者と専任技術者について解説していきます。
経営業務の管理責任者
建設業許可が必要になるのは、500万円以上の工事を行う場合ですので、ある程度の規模の工事になります。そのため、建設業での経営経験が一定以上ある「経営業務の管理責任者」が必要になります。
経営経験については、いくつかのパターンがありますが、一般的には経営業務の管理責任者として5年以上の経験があるか、経営業務の管理責任者に準ずる地位としての経験が5年以上あることを証明することになります。
法人の場合は取締役、個人の場合は個人事業主本人が経営業務管理責任者になることが一般的です。
なお、経営業務の管理責任者は、事務所に常勤しなければなりませんので、他の法人の役員であったり、専任制を求められる職務についている場合は認められないこともありますので注意が必要です。
専任技術者
機械器具設置工事業の許可を取得するのは難易度が高いと説明しましたが、その理由は、専任技術者として認められる資格が少ないことにあります。
現在、機械器具設置工事業の専任技術者として認められる資格は次のとおりです。
- 技術士法の機械・総合技術監理(機械)
- 機械「流体工学」または「熱工学」・総合技術監理(機械「流体工学」または「熱工学」)
このように、認められる資格が少ないため、多くの事業者様が10年の実務経験で専任技術者を証明をすることになります。
なお、学校教育法上の指定学科を卒業している場合、本来10年の実務経験が必要なところを、3年や5年の実務経験に緩和されますので、ご自身の卒業した学校が対象になるのかは行政庁に確認することをオススメします。
- 建築学に関する学科
- 機械工学に関する学科
- 電気工学に関する学科
兼業事業には注意
機械器具設置工事業しか行っていないので、兼業事業は関係ない思っている事業者様も多いのですが、建設業許可では「保守点検」や部品の交換や修理といった「メンテナンス業務」については、機械器具設置工事とは認めていませんので”兼業事業”として扱わなければなりません。
そのため、申請書類である「工事経歴書」には、兼業事業を除いた機械器具設置工事に関する工事しか記入できませんし、「直前3年の各事業年度における工事施工金額」についても同用に兼業事業以外の建設工事しか記入できません。
また、「建設業財務諸表」は建設工事の完成工事高と兼業事業売上高とに分けて記入する必要があります。
ご自身で申請書類を作成する場合には、機械器具設置工事と兼業事業とに分けることを忘れないよう注意してください。
機械器具設置工事業の許可取得をサポート
機械器具設置工事業の専任技術者として認められる資格が少なく、多くの方が10年の実務経験で証明する取得が困難な業種といえます。
また、工事の内容によっては専門工事に区分されるため、機械器具設置工事業に該当することがわかるような資料や写真等を求められることもあり、他の業種の許可申請よりも行政庁への事前確認が重要になります。
弊所では、お客様からご相談いただいた情報をもとに行政庁に確認したうえで申請を行いますので、許可取得でお悩みの事業者様は是非ご相談ください。
建設業許可に関する詳細はこちらの記事で解説しています。