建設業許可業者に課される義務

様々な要件をクリアして建設業許可をようやく取得できてホッとしてはいませんか?
許可を維持していくために様々な義務があり、守れない場合は許可の更新ができなかったり、許可が取消されてしまうこともあります。
今回は、建設業者の「代表的な5つの義務」についてみていきましょう。

建設業者に課される義務

代表的な5つの義務
1. 許可行政庁への届出義務
2. 標識の掲示、帳簿の備え付け・保存及び営業に関する図書の保存義務
3. 契約締結に関する義務
4. 工事現場における施行体性等に関する義務
5. 下請代金の支払期日に関する義務

1.許可行政庁への届出義務

許可を取得した後、申請内容に変更が生じた場合は、定められた期間内に「変更届出書」を許可した行政庁に提出する必要があります。
たとえば、経営業務の管理責任者が変更になる場合や、役員に変更があった場合などです。
提出を怠ると、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処されますし、許可の更新の申請や業種追加の申請が認められない原因にもなってしまいます。
変更の内容によって届出期間が異なりますので注意が必要です。

◆ 変更後30日以内
 ・商号
 ・営業所の情報
 ・役員に関する情報
 ・支配人に関する情報
 ・廃業

◆ 変更後2週間以内
 ・経営業務の管理責任者に関する情報
 ・専任技術者に関する情報
 ・令3条の使用人に関する情報

◆ 事業年度終了後4ヶ月以内
 ・決算報告届

2.標識の掲示、帳簿の備え付け・保存及び営業に関する図書の保存義務

建設業者は、店舗及び工事現場ごとに公衆の見やすい場所に「標識」を掲げなければなりません。

(1)標識の掲示

標識は、「店舗用」と「建設工事の現場用」で様式が異なります。

◆ 店舗に掲示する場合

許可証_店舗用

◆ 建設工事(発注者から直接請け負ったものに限る。)の現場に掲示する場合

(2)帳簿の備付・保存

請負契約の内容を適切に整理した帳簿を、営業所ごとに備えておく必要があります。帳簿については5年間(発注者と締結した住宅を新築する建設工事については10年間)保存しておかなければなりません。

(3)営業に関する図書の保存

発注者から直接建設工事を請け負った場合、営業所ごとに、営業に関する図書を当該建設工事の目的物の引き渡しをしたときから10年間保存しなければなりません。

営業に関する図書
• 完成図(建設業者が作成した場合または発注者から受領した場合のみ)
• 工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録(相互に交付したものに限る)
• 施工体系図(発注者から直接請け負った建設工事について、4,000万円(建築一式工事の場合6,000万円。)以上の下請契約を締結した特定建設業者の場合のみ)

3.契約締結に関する義務

請負契約の締結に関しては、着工前書面契約を徹底して、契約書面への記載必須事項の規定等の義務があります。
また、取引上の地位を利用して工事原価に満たない価格で工事契約の締結を強制したり、契約後に取引上の地位を利用して工事に使用する資材等の購入先を指定して、請負人の利益を害する行為についても禁止されています。

4.工事現場における施行体制等に関する義務

(1)工事現場への主任技術者等の配置義務

建設業者は、請け負った建設工事を施工するときは、請負代金の額や元請下請けに関係なく、全ての工事現場に「主任技術者」を配置しなければなりません。
主任技術者は、一般建設業の許可の営業所に配置する専任技術者の要件を満たす者のことをいいます
※特定建設業許可業者の場合は、主任技術者ではなく監理技術者を配置しなければなりません。

(2)一括下請負の禁止

請け負った工事を一括して、他者に請け負わせる行為や、他者が請け負った工事を一括して受ける行為は共に禁止されています。

(3)特定建設業許可業者に関する義務

  1. 施工体制台帳・施工体系図の作成義務
    発注者から建設工事を直接請け負った特定建設業許可業者が、4,000 万円(建築一式工事については6,000 万円)以上を下請負して建設工事を施工する場合にあっては、当該建設工事に係る全ての下請業者を明らかとする施工体制台帳等を作成する必要があります。
  2. 下請負人への指導義務
    発注者から建設工事を直接請け負った特定建設業許可業者には、当該建設工事に係る全ての下請業者に対する法令遵守指導の実施のほか、法令違反を是正しない下請負人があった場合の行政庁への通報義務が課せられています。

5.下請代金の支払いに関する義務について

(1)下請代金の支払期日に関する義務

注文者から請負代金の出来高払又は竣工払を受けたときは、その支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、相当する下請代金を1か月以内に支払わなければなりません。

(2)特定建設業許可業者に関する義務

  1. 下請代金の支払期日の特例
    特定建設業許可業者にあっては、前記(1)の期日、又は、「下請負人(特定建設業許可業者又は資本金額が4,000 万円以上の法人を除きます。)からの引渡し申出日から起算して50日以内の日」のいずれか早い期日内に下請代金の支払を行うことが必要です。
  2. 割引困難な手形による支払の禁止
    特定建設業許可業者が、下請代金の支払いを一般の金融機関による割引を受けることが困難と認められる手形により行うことは禁止されています。手形サイトが120 日を超える手形については、割引困難な手形とみなされますので、注意が必要になります。

これらの義務は、建設業許可を維持するためには、必ず守らなければなりません。「届出義務」を忘れてしまう事業者様も多いですので、後回しにせず、その都度提出するよう心がけてください。

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